社内業務に関するシステムを一元化して運用・管理できるクラウドサービス「ServiceNow」。
株式会社KYOSOでは、これまでの豊富な運用経験をもとに、ServiceNowの企画立案から運用・保守、内製化までトータルでサポートしています。
ユーザーからのお問い合わせを受領した際、誰にアサインすべきか迷ったことはありませんか?
適切でないアサインは、回答に時間がかかる、回答内容が不十分で再問い合わせを招くなど、社内業務の効率低下につながります。
本ブログでは、ServiceNowの数多くの機能の中から、適切なアサインを支援し、社内業務の効率を向上させる便利な機能「アサインワークベンチ」をご紹介します。
目次
概要説明
ServiceNowには、ケース(Customer Service Managementでの問い合わせ)が起票されると、その内容に基づきアサイン可能なエンジニアを自動的に絞り込む「アサインワークベンチ」という機能があります。
この機能を活用すれば、内容確認や手動での担当者割り当ての作業負担が軽減されます。
アサイン可能なエンジニアの絞り込みは「一致ルール」によって行われ、以下の条件で設定可能です。
一致スキル:ケース内容に対応可能なスキルを持つ
今日の空き状況:担当者が今日対応できる時間
アサインされたケース:担当者が現在受け持つケース数
検証環境
本記事でご紹介している内容は、以下の環境で検証しました。
バージョン:Vancouver
ロール:admin
個人向け開発環境(PDI)でCustomer Service Managementプラグインを有効化しています。
アサインワークベンチの実行例
1.ユーザーがケース(問い合わせ)を作成する
下記画面はユーザーが使用するサービスポータルのフォームです。
※起票例
ケース番号:CS0000008
ケースタイトル:What is the status of KPIs?
2.管理者がケースを確認する
下記画面は管理者が使用するメイン(クラシック)画面です。
パス:[Customer Service] > [Cases] > [All]
(日本語:Customer Service > ケース > すべて)
ケース番号、Short description(簡単な説明)、 Product (製品モデル)を確認
※受け付け時点では、まだ誰にもアサインされていません。(Assignment group, Assigned to が空白)
3.自動的にアサインされる
アサインを決める際、ケースに設定されたproduct(製品モデル)に基づいて対応可能なスキルを持つ担当者リストが表示され、担当者の状況に応じて優先順位が割り振られて表示されます。
設定内容
1.スキル決定ルールを有効化する
アプリケーションスコープ:Skill Rule
パス:[Skills] > [Skill Determination Rule]
(日本語:スキル > スキル決定ルール)
レコード:Product skills on case
設定:Action > True
設定完了後、Updateをクリックしてこのレコードを更新
アプリケーションスコープ:Global
パス:[System Definition] > [Business Rules]
(日本語:[システム定義[ > [ビジネスルール])
レコード:Skill determination for case
設定:Action > True
設定完了後、Updateをクリックしてこのレコードを更新
2.アサインワークベンチの必須スキルを有効化する
パス:[Routing and Assignment] > [Matching Rule]
(日本語:[ルーティングとアサイン] > [一致ルール])
レコード:Recommendation for Case Assignment
設定:Select Criteria(日本語:基準を選択)関連リスト Newを選択し、
下記基準を設定する
基準:Matching Skills – Mandatory Skills Support
※初期設定で3つの基準が予め設定済み
Criterion(基準)にMatching Skills – Mandatory Skills Support (一致スキル – 必須スキルサポート) を設定し、Submit をクリックする
基準が4つあることを確認
設定例
Matching Skills – Mandatory Skills Support:一致するスキルを必須にする。多いほど優先
Availability Today:本日の対応可能時間。多いほど優先
Matching Skills:一致するスキル。多いほど優先
Assigned Cases:アサイン済みのケース数:少ないほど優先
3.ケースにTask Skill 関連リストを追加する
アプリケーションスコープ:Customer Service
レコード: [Customer Service] > [Cases] > [All]
(日本語:[Customer Service] > [ケース] > [すべて])
レコード:任意のケース
設定:コンテキストメニュー > [Configure] (構成) > [Related Lists] (関連リスト) にて、
Task Skill -> Task (タスクスキル->タスク) を関連リストに追加する
4.製品モデルにスキルを追加する
アプリケーションスコープ:Customer Service
パス:[Customer Service] > [Products] > [Product Models]
(日本語:[Customer Service] > [製品] > [製品モデル])
レコード:設定したい製品モデル
設定:Edit(編集)をクリックし、Skills (スキル)関連リストに必要なスキルを設定する
設定例:必要なスキルに「Application Support」を設定
5.ユーザーにスキルを追加する
アプリケーションスコープ:Customer Service
パス:[User Administration] > [Users]
(日本語:[ユーザー管理] > [ユーザー])
レコード:設定したいユーザー
設定:Edit(編集)をクリックし、skills (スキル) 関連リストに所有しているスキルを設定する
設定例:所有スキルに「Application Support」(他2つ)を設定
この設定により、起票されたケースの製品モデルに「Application Support」スキルのある製品モデルが設定された場合、アサインの候補には「Application Support」スキルを保有しているユーザーだけがリストアップされます。
最後に
いかがでしたか?
ServiceNowを使用することにより、ユーザーからの問い合わせを最適な担当者に素早く割り振ることができます。これにより、業務効率の向上や管理業務の負担を軽減し、高いユーザー満足度を得ることができます。
さらに、担当者を自動的にアサインするように拡張することも可能です。
最後まで閲覧いただき、ありがとうございました。
あなたにとって有益な情報を提供できたのであれば、大変嬉しく思います。
参考
Customer Service Management の詳細 (servicenow.com)
Customer Service Management (CSM) | ServiceNow
投稿者プロフィール
- 某大手企業の情報システム部様にて、ServiceNowによるサービスデスクを担当し、ITSMの業務を行っていました。現在さらなるスキルアップに向け勉強中です。
保有資格
- ServiceNow Certified System Administrator
- ServiceNow Certified Application Developer
- ServiceNow Certified Implementation Specialist - IT Service Management
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