社内業務に関するシステムを一元化して運用・管理できるクラウドサービス「ServiceNow」。
株式会社KYOSOでは、これまでの豊富な運用経験をもとに、ServiceNowの企画立案から運用・保守、内製化までトータルでサポートしています。
10/15-10/16の2日間にかけて、ServiceNow World Forum Tokyo 2024が開催されました!
今回は初の2Day開催ということで気合十分、弊社社員数名で参加してきました。
本記事にて会場の雰囲気、展示やセッション内容、また参加してみての感想等を共有させていただけますと幸いです。
目次
イベント概要
World ForumとはServiceNowによる年次イベントで、パートナー企業、ServiceNowユーザー、ServiceNow社による展示やセッションを通じて業界トレンドをキャッチしたり、最新技術に触れたりすることができます。World Forumは世界規模のイベントで、アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダなど世界各国の主要都市にて開催されています。
今回は過去最大規模でのイベント開催ということで、2日間で合計約7500名もの方々が来場されたそうです。展示ブースやセッションのみならず、ネットワーキングなどの時間も設けられており人々が活発に交流されていました。
会場に到着!
会場は、ザ・プリンスパークタワー・東京です。ザ・プリンスパークタワー・東京の近くからは東京タワーを望むことができます。大阪から出張でイベント参加のため、東京に来たということが強く実感でき、会場に到着する前から既にワクワクが止まりませんでした。
会場に到着したら、まずは受付を済ませます。事前に受け取った来場者用のQRコードをスタッフの方に読み込んでいただきネームストラップと引き換えます。ネームストラップを装着したらいざ出陣です。
受付からして華やかでしたが、メイン会場に入るなりその煌びやかさと圧巻のスケールに思わず息をのみました。
会場マップ
会場は大きくExpo会場とセッション会場の2つに分かれていました。Expo会場では常設のスポンサーブース、ServiceNowブース、Photoスポットなどがあり、各自が好きなタイミングで好きな場所を訪れることができます。またExpo会場の奥にはExpoシアターと呼ばれるシアタースペースがあり、スポンサー企業らによる各回20分のショートセッションが実施されていました。
一方のセッション会場は6から7の会議室に分かれており、各会議室にて複数のセッションが同時に開催されていました。あらかじめ参加したいセッションを決めておき、時間になったら会議室に入室して講演を聴きます。
各会場の雰囲気や当日のプログラムについて詳しくご紹介いたします♪
Expo会場
●Expoシアター
CMDB、ローカライゼーション、生成AI、セキュリティ、事例紹介など、各社様々なトピックに関するセッションを実施されていました。また、各セッション約20分と短い時間で集中して聞くことができ、予約不要で気軽に参加できる点も魅力的でした。どのセッションも興味深く、終始釘付けでした。
●スポンサーブース
スポンサーブースでは、各種ServiceNow製品の特徴やアピールポイント紹介、製品デモの実施、導入事例紹介など各社様々な内容の展示をされていました。ServiceNowに関する自社の強みや自社製品とServiceNowの互換性など、普段あまり知ることのないServiceNowベンダーの取り組みや事業内容について触れることができました。
また普段、ServiceNowの開発者の方々と関わる機会はあまりないのですが、スポンサーブースを回りながらたくさんの開発者の方々とコミュニケーションをとれた点が良かったです。開発時の工夫やポイント、悩み、アイデアなどを共有することができ、新鮮な機会でした。
●Photoスポット
Expo会場内には2か所のフォトスポットが設置されていました。どちらも生成AIを搭載した最新機能という事で、弊社社員でも体験してきました。
一つ目のフォトスポットでは、被写体が真ん中の台の上に背中合わせで立ち、その周りをAIカメラが自動で回転して被写体を動画に納めてくれます。仕上がった動画を確認しましたが、躍動感がありカッコよかったです。
2つ目のフォトスポットにも立ち寄り、4コマ漫画のような写真をAIカメラに撮影してもらいました。
カメラにも生成AI機能が搭載されてるとは驚きです。なかなか腕の良いカメラマンでした。
●ServiceNowブース
ServiceNowブースエリアは13のブースで構成されており、各ブースにて機能紹介や製品デモが実施されていました。やはり今回はAIがテーマとの事で、各製品ラインごとにAIの活用事例などが多く紹介されていた印象です。ブースで学んだこと、自身で調査した内容を交えて生成AIの活用事例を簡単に紹介します。
例えば、CSMや従業員サービスの領域ではAIの活用により顧客や従業員体験の向上が期待できると言います。具体的には、AI Searchと呼ばれる検索機能があります。AI Searchでは、生成AIが顧客や従業員からの質問内容に基づき、関連するナレッジ記事から必要な情報のみを抽出して要約した文章を回答結果として返してくれます。これにより、従業員や顧客は必要な情報を探すためにナレッジを探し回ったり、記事の隅々まで読む手間を省く事ができます。
外部システムとServiceNowの生成AI機能の集合体であるNowAssistを統合すると、例えば、従業員はServiceNowのインスタンスを開かずにTeams上で仮想エージェントを通じてナレッジ記事などを検索する事ができるようになります。様々な場所で生成AIのサポートが受けられるようになり、顧客や従業員体験の向上が期待できるそうです。
他にも、ServiceNow管理者や開発者、担当者向けのAI機能もたくさん紹介されており、Now Assistの魅力を目一杯に感じることができました。
ServiceNowの生成AI機能についてもっと知りたい方は是非、ServiceNow公式サイトを確認してみてください!
セッション会場
●セッション会場の様子
セッション会場は冒頭でも紹介した通り6~7の会場に分かれており、各会場にて同時に複数のセッションが実施されていました。あらかじめ気になるセッションをマークしておき、開始時間が近づいて来たら指定の会議室へと向かいます。
座席は先着順で、早めに会場に向かうと、前方の見やすい席に着席できます。英語で実施される講演もありますが、同時翻訳のための機械が一人ひとりに配布されるため安心です。
顧客事例、製品デモ、製品紹介など、様々な内容のセッションがありましたが、中でも私自身が興味を持ったServiceNow Japan社によるアプリケーション開発に関するセッション内容をご紹介いたします。
●セッション内容の共有
主な内容は、NowPlatformにおけるアプリケーション開発の流れや意識すべきポイントについてでした。セッションを通じて、ServiceNowでのアプリケーション開発について改めて体系的に知ることができました。特に講演で紹介されていた、ServiceNowでのアプリ開発において重要な5つのポイントが重要だと感じたので、講演で学んだ内容と自身で調査をした内容を交えながら解説していきます。
早速ですが、ServiceNowが提唱するアプリケーション開発時に意識するべき5つのポイントとは:
- 可能な限りローコードで開発を行う
- 拡張開発(カスタマイズ)は可能な限り避ける
- アプリケーションスコープを意識して開発する
- ベストプラクティスを学ぶ
- 新しい開発ツールや開発環境を活用する
です。各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
初めに「可能な限りローコードで開発を行う」というポイントについてです。
ローコードとは、最小限のコードでアプリケーションの開発を行う手法のことです。複雑なコードを再利用可能なコンポーネントへと抽象化することにより、プログラミングに慣れていない人でも簡単に開発ができるようになります。さらに、構築済みのテンプレートや構成要素を活用することで、開発スピードが向上します。また、グラフィカルなインターフェースを利用して開発が進められる点もその魅力のひとつです。
ローコード開発手法により、市民開発者と呼ばれるビジネスユーザーや開発経験が少ないユーザーも開発が可能となり、その結果、開発者らはより高度な技術を必要とする開発に注力する事ができるようになります。さらに、ローコード開発は少ない開発者での開発を可能とし、採用やトレーニング、あるいは開発者らのサポートのために関わるコストを抑える事ができる、といった魅力もあります。
これらの観点を踏まえ、ローコード開発が推奨されているようです。ServiceNow公式サイト「ローコードとは」で詳細情報が記載されていますので、よろしければチェックしてみてください。
2つ目に「拡張開発(カスタマイズ)は可能な限り避ける」というポイントについてです。
拡張開発により顧客の要件や要望を忠実に再現することができる点は魅力的ですが、カスタマイズには考慮すべきポイントがあります。
それは、インスタンスのアップグレード時にカスタマイズされたオブジェクトはアップグレード対象からスキップされてしまうという点です。スキップされたオブジェクトについては、それぞれのオブジェクトごとにアップデートを適応する/ しないの判断を行い、手動でアップグレードを適応する必要があります。そのため、カスタマイズ箇所が多くなれば必然的にアップデート対応により多くの時間を費やすことになります。ServiceNowには毎年2回のバージョンアップデートがあるため、アップデートの度にスキップされたオブジェクトを特定して適応する作業は骨が折れます。
また、アップグレードがスキップされることで古い機能を使い続けなければいけない場合があり、新機能の恩恵を享受できない・セキュリティ面に不安がある、といった問題に直面する可能性もあります。
アップグレードの詳細についてはServiceNow製品ドキュメント「Now Platformアップグレードツールの使用」をご参照ください。
3つ目に「アプリケーションスコープを意識して開発する」というポイントについてです。
アプリケーションスコープとは、アプリケーションが他アプリケーションのどの部分に対してアクセスする事ができるのかを決定するためのものです。アプリケーションスコープを正しく活用することで、他のアプリケーションによるファイルやデータへのアクセスを制御し、アプリケーションを保護する事ができます。主に以下の2種類の方法でアプリケーションスコープを切り替える事ができます。
一つ目はアプリケーションピッカーによる切り替えです。
インスタンスを開き、ヘッダー部分のアプリケーションピッカー
(地球儀アイコン)から変更します。
アプリケーションピッカーを展開し、「アプリケーションスコープ」> 切り替え対象のスコープ名の順に選択します。
次に、レコード画面からスコープを切り替える方法です。
例えば、従業員センターに関する設定変更を行う場合、対象のレコードを開くと、ヘッダー部分に画像のようなメッセージが表示されます。
このメッセージの「こちらをクリックしてください」のこちらの部分を選択すると、スコープが切り替わります。
アプリケーションスコープに関する詳細情報は、ServiceNow製品ドキュメント「アプリケーションスコープ」をご参照ください。
4つ目に「ベストプラクティスを学ぶ」というポイントについてです。
ベストプラクティスに従うことでインスタンスのセットアップ効率が向上し、リスクを抑え、問題の発生を未然に防ぐ事ができるそうです。ServiceNowでは、様々なベストプラクティスが提唱されており、その中でも特に気になったものをご紹介いたします。
それは「ServiceNowの標準機能を理解する」ことです。このベストプラクティスに従うことでビルトイン※1の機能を最大限に活用する事ができ、開発労力を最小限に抑えられます。私自身、開発をしないと実現できないと思っていたことが実は標準機能で実現できるという事が後々判明した経験があります。不必要な開発を避けるためにも、このベストプラクティスは常に意識しておきたいポイントです。
※1ビルトイン:あとから追加されたものではない、もともとのシステムに組み込まれている機能のこと。
ServiceNowのナレッジ記事「ベストプラクティス – 一般的な計画」にて、他の様々なベストプラクティスについて解説されていますので、よろしければ確認してみてください。
最後に「新しい開発ツールや環境を活用する」というポイントについてです。
セッションでは、ServiceNow Studioと呼ばれるツールが紹介されていました。
これまで開発者は、アプリケーションの開発時、ServiceNowの個々のツールや別々のインターフェイスを使い分ける必要がありました。一方で、新たに紹介されたServiceNow Studioでは、開発者エクスペリエンスの断片化を解消することができます。ServiceNow Studioの特筆すべき特徴として、アプリケーション開発に必要なあらゆるツールに単一のインターフェイスからアクセスすることができます。さらに、メイン画面の検索機能を活用してアプリケーション開発に係わるファイルを簡単に見つけることができます。
これらServiceNow Studioの特徴により、開発者体験の向上が期待できます。
機能の詳細についてはServiceNow公式サイト「ServiceNow Studio」にて詳しく紹介されているので、よろしければ確認してみてください。
新しいツールは操作方法を覚えることが大変といった理由から、つい使い慣れたツールを長く使い続けてしまいがちです。しかし、実は新機能を活用した方がより簡単かつスピーディーに開発できるといった恩恵があるかもしれないため、積極的に新しい開発ツール・環境を利用するように心がけたいものです。
セッションを通じて、普段から自分が意識できているポイント・できていないポイントについて再認識することができました。今後、開発を行う際に何を意識しながら取り組むべきなのか、といった気付きや学びが得られた非常に有意義なセッションでした。
おまけ
Expo会場に入場する際、入場者の一人ひとりに対してビンゴカードが配布されます。ビンゴカードには、スポンサー企業の名前が記載されており、Expo会場内のスポンサーブースを回りながら各企業のスタンプを集めます。通常のビンゴ同様、1列が揃うと会場内に設置された抽選ブースにて抽選に参加することができます。抽選にあたると豪華景品がもらえるようでしたが、気になる結果は、、、
参加賞でした(笑)
景品欲しさにゲーム感覚で様々なスポンサーブースを周り、たくさんのアイデアを得られた点は非常によかったです!
さいごに
豪華絢爛な会場の雰囲気や圧巻のスケール、そして人々の熱気に終始圧倒されっぱなしでしたが、全体を通じてたくさんのアイデアや学びが得られた充実の2日間でした。
とにかくServiceNowのスゴさを改めて実感しました。
今回、このような貴重な体験の機会を提供して下さったServiceNow社様には本当に感謝いたします。
ありがとうございました!
最後まで閲覧いただき、ありがとうございました。
あなたにとって有益な情報を提供できたのであれば、大変嬉しく思います。
投稿者プロフィール
- 2023年新卒入社です!
これまで、主にServiceNowのITSM領域の開発に携わってきました。ServiceNowの幅広い領域で活躍できるよう、学習に励んでいます。
保有資格
・ServiceNow Certified System Administrator
・ServiceNow Certified Application Developer
・ServiceNow Certified Implementation Specialist - IT Service Management